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マリー・アントワネット、ベルサイユのばら、プチ・トリアノン、アンドレ・ルノートル

マリア・テレジアをすでに御紹介しましたが、今回はハプスブルグ家の女帝、マリア・テレジアの末娘のマリー・アントワネット、そして彼女が住んだベルサイユ宮殿とアントワネットが窮屈な生活から逃避したプチトリアノン、そのベルサイユ宮殿の庭園を設計したアンドレ・ルノートルの名をつけられたバラをご紹介いたします。

マリー・アントワネット

オーストリアからフランスの王ルイ16世に嫁いだマリー・アントワネットの名はあまりにも有名です。言葉も思うようでなく、風習も異なり、しかもベルサイユ宮殿以外のフランスという国を知らない彼女は、次第に自分の世界を宮殿の中に作り上げていき、それが国民の反感だけでなく、身内ともいえる貴族の反感さえ買っていることにも気付かないでいる内に、ついにはフランス革命のただ中に立たされてしまう運命に翻弄されるヒロインの名前です。
マリー・アントワネットの名がつけられたバラは堂々とした大輪花ではなくて、中輪のフロリバンダローズです。色もアイボリーという静かな色合いで、晩年のマリー・アントワネットを想起させるようなうつくしいバラです。

ベルサイユのばら

このバラの名前、いわずと知れた池田理代子作品のアニメで、マリー・アントワネットと彼女を取り巻く人々が否応なしにフランス革命に引きずり込まれる様子を華やかに、ロマンチックに、哀しく描いています。史実に基づいていますので、フィクションとはいえ、フランス革命のあらましを知ることができます。
 このベルサイユ宮殿の花形、「ベルサイユのバラ」とはもちろんマリー・アントワネットのことです。
 ほんわりした色の「マリー・アントワネット」の名のバラと違って、「ベルサイユのばら」と名付けられたこのバラは真紅のあでやかなバラです。これもまたマリー・アントワネットのベルサイユの中での華やかな日々を彷彿させます。ハイブリッドティーローズの大輪花です。

プチ・トリアノン

プチトリアノン―つまり小トリアノン宮はもともとルイ15世の公妾ポンパドール夫人のためのものでしたが完成する前にポンパドール夫人は亡くなってしまいます。その後ルイ16世はここをマリー・アントワネットに与えました。ベルサイユ宮殿での堅苦しい生活を嫌い、アントワネットはプチトリアノンをイギリス風の村落にし、酪農小屋もつくり、劇場も作ったりして田舎風の生活を楽しんだといわれます。
そうしたいきさつの故もあってか、プチトリアノンの花はどこか古典的な趣を漂わせています。2006年メイアン発表のフロリバンダローズです。

アンドレ・ルノートル

アンドレ・ル・ノートルは1613年に生まれ、1700年に亡くなった造園家で、ベルサイユ宮殿の庭の設計で有名です。他にはパリのティイリュリー宮殿、フォンテンブロー宮殿、トリノ宮殿、その他多くの庭園を手掛け、フランス式庭園の様式を完成させたことで知られます。
 花はややサーモンがかったやさしいピンクで、アンティークタイプ、樹形はハイブリッドティータイプです。

コラム寄稿

野村和子(のむら かずこ・バラ文化研究所理事)
京成バラ園芸(株)研究所にて故鈴木省三氏の助手を長年にわたり務め、その後NPOばら文化研究所の立ち上げに携わり理事を就任。同時に千葉市花の美術館の相談員を務める。
著書「オールドローズ花図譜」(小学館)、「オールドローズ」(NHK出版)、「四季の花だより」(千葉市みどりの協会)他。

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