• UPDATE

アンデルセンのバラ

たくさんの童話をのこしたアンデルセンはルドゥーテが死ぬ5年前、1835年に最初の童話を発表し1872年まで書いていますので、ちょうど交配されたバラが盛んに世におくりだされた時代と重なります。アンデルセンの童話を読んでいると「バラ」がそこかしこに出てきます。そこにはバラが庶民の間に浸透していたことがうかがわれるる記述が多く見られます。

「男の子の家と女の子の家はどちらも窓の外に木の箱を置いて小さいバラを植えていました。バラは一本だけだったけれど、お互いに届きそうになってひとつの花の壁のようにみえました。」・・・・・(雪の女王)
「百姓家の壁にたくさん咲き香っているバラ・・・・・(年のはなし)
「貧民墓地に葬られたお母さんのお墓に小さなバラがひと株・・・(あの女はろくでなし)
「町の門のそばにうつくしいバラの花が咲いて・・・・・(ツックぼうや)

この頃バラは底辺が広くなり、だれでも、どこでも楽しむことが出来る花になっていたことがが分かります。おそらく最盛期の一時期であったのでしょう。

コラム寄稿

野村和子(のむら かずこ・バラ文化研究所理事)
京成バラ園芸(株)研究所にて故鈴木省三氏の助手を長年にわたり務め、その後NPOばら文化研究所の立ち上げに携わり理事を就任。同時に千葉市花の美術館の相談員を務める。
著書「オールドローズ花図譜」(小学館)、「オールドローズ」(NHK出版)、「四季の花だより」(千葉市みどりの協会)他

ブログ一覧