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バラの文学

『薔薇物語』
中世の最大のフランスの文学といわれるものに『薔薇物語』があります。1200年代の中ごろに書かれており、「悦楽」の園で見かけたバラを求めて、「款待」、「拒絶」、「いんぎん」、「羞恥」、「ねたみ」、「理性」、「自然」など多くの擬人化された人物との葛藤の末、最後は「愛の神」の協力を得てバラを手に入れる、という長大な物語で当時の思想、社会問題まで取り込まれているといわれます。

『ルバイヤット』
ルバイヤットとは四行詩のことですが、ペルシアの天文学者であり詩人であったオマル・ハイヤームが書いた四行詩の詩集のタイトルとなっています。この世を謳歌し、またはかなさもうたったものの代表の様にバラとナイチンゲール(夜鳴鶯)と酒が取り上げられた詩が多くみられます。これはアラビアンナイト(千夜一夜物語)も同様です。
『ルバイヤット』は長いこと埋もれたままになっていましたが、1800年代にイギリスのエドワード・フィッツジェラルドが翻訳して後に評判となりました。このフィッツジェラルドの墓に咲いていたバラには「オマル・ハイヤーム」と名前がつけられて、今も栽培されています。

コラム寄稿

野村和子(のむら かずこ・バラ文化研究所理事)
京成バラ園芸(株)研究所にて故鈴木省三氏の助手を長年にわたり務め、その後NPOばら文化研究所の立ち上げに携わり理事を就任。同時に千葉市花の美術館の相談員を務める。
著書「オールドローズ花図譜」(小学館)、「オールドローズ」(NHK出版)、「四季の花だより」(千葉市みどりの協会)他。

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