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バラ戦争

赤バラと白バラを重ねた
図柄のチューダーローズ

イギリスの王位にあったプランタジネット家は後継者ランカスター家とヨーク家に分かれ、この両家が王位を争って起こした戦争で、1455年から1485年まで30 年間続いたため、30年戦争とも呼ばれます。初めはランカスター家からヘンリー4世、5世と続きますが、ヘンリー5世が若くして世を去り、跡をついだヘンリー6世がやはり子を遺しませんでした。そこへかねてから狙っていたヨーク家が立ち上がるのです。シェークスピアによって両家が決別する場面が『ヘンリー6世』の第2幕第4場、テンプルホールの庭で再現されています。この時ランカスター家が赤いバラを、ヨーク家の白いバラを手折ってそれぞれの象徴にすると宣言したためにバラ戦争と名付けられたのです。
その後ランカスター家からヘンリー・チューダーが立ち上がり、ヨーク家がリチャード3世を斃してヘンリー7世として王位につき、ヨーク家のエリザベスと結婚して、両家は和解に至ります。
この時ヘンリー7世はランカスター家の赤バラとヨーク家の白バラを重ねた図柄をチューダーローズとして紋章としたのでした。
ちなみにチューダー朝はヘンリー7世の孫、エリザベス1 世が生涯独身でいたために、エリザベスの死(1603年)をもって終わりになります。

コラム寄稿

野村和子(のむら かずこ・バラ文化研究所理事)
京成バラ園芸(株)研究所にて故鈴木省三氏の助手を長年にわたり務め、その後NPOばら文化研究所の立ち上げに携わり理事を就任。同時に千葉市花の美術館の相談員を務める。
著書「オールドローズ花図譜」(小学館)、「オールドローズ」(NHK出版)、「四季の花だより」(千葉市みどりの協会)他。

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