シャンボール伯(コント ドゥ シャンボール)がアンリ5世として王位につくことができず、ブルボン王朝がシャルル10世で終わったあと1830年の7月革命で王位についたのは、オルレアン家のルイ・フィリップでした。
オルレアン家はブルボン家の支流ではありましたが、自由主義を学んだこともあり、フランス革命時にはルイ・フィリップは革命側についていました。
その後父が裏切りにあったことにより、スイスへ亡命しましたが、ナポレオンの失脚後、フランスへ戻り、7月革命により、「フランス人の王」として推されて王位につきます。人民の王であることを強調したのですが、結局この政府もブルジョワジーの占有するものであって、本当の意味での人民のものでなかったために、1848年におきた2月革命によって退位し、イギリスへ亡命します。時のビクトリア女王に迎えられますが、2年後イギリスで生涯を終えます。
この2月革命により、フランスは第2共和政が成立し、長く続いたフランスの君主制は終わります。
このフランスの最後の君主であったルイ・フィリップの名がつけられたバラが今回ご紹介するバラです。
系統はチャイナローズ、典型的なチャイナローズの形態をしている真紅のバラで、他のチャイナと同様、花首が細く、うなだれて咲きます。開ききると中心の花弁がやや色あせます。
1834年に作られたということで、現存するオールドローズとしては古いものです。ゲランという人によって作られました。完全な四季咲き性を示します。
コラム寄稿
野村和子(のむら かずこ・バラ文化研究所理事)
京成バラ園芸(株)研究所にて故鈴木省三氏の助手を長年にわたり務め、その後NPOばら文化研究所の立ち上げに携わり理事を就任。同時に千葉市花の美術館の相談員を務める。
著書「オールドローズ花図譜」(小学館)、「オールドローズ」(NHK出版)、「四季の花だより」(千葉市みどりの協会)他。