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ルイ18世の愛妾「コンテス デュ カイラ」

コンテス デュ カイラ

コンテスは伯爵夫人、つまりカイラ伯爵夫人という名のバラです。カイラ伯爵夫人はルイ18世の愛妾だった人です。愛妾のイメージに合っていると言っていいのか、あでやかな花色です。赤とオレンジとピンクが複雑な影をおりなしながら、しかもその奥には黄色がほんのり透けてみえるような、他のオールドローズにはみられないチャイナローズならではの花色です。そう、あのムタビリスの花色を一つにまとめて色合いをさらに鮮明にして八重咲きになったと考えればいいでしょうか。写真に十分表現できていなくて申し訳ありません。
ところでこのカイラ伯爵夫人を愛妾にしたルイ18世とはどんな人だったのでしょうか。じつはフランス革命でギロチンにかかったルイ16世の弟なのです。
フランス革命が成立してルイ16世がギロチンにかけられたことにより、ブルボン王朝が完全に終わってはいなかったのでした。フランス革命が起きるとドイツに逃れたプロヴァンス伯はナポレオンの盛衰の間隙を縫ってルイ18世として王位につきました。その在位は間が少し空きますが、1814年から1824年まで続きます。ルイ18世の後は弟がシャルル10世として継ぎますが、シャルルの子コンテス ドゥ シャンボールが跡を継ぐことができず、そこでブルボン朝は完全に終わりになります。
カイラ伯爵夫人はルイ18世の正妻が亡くなったあとに愛妾となりました。

このコンテス デュ カイラ、いく分枝が長く伸びて、他のチャイナローズのようにコンパクトな樹形ではありません。

コラム寄稿

野村和子(のむら かずこ・バラ文化研究所理事)
京成バラ園芸(株)研究所にて故鈴木省三氏の助手を長年にわたり務め、その後NPOばら文化研究所の立ち上げに携わり理事を就任。同時に千葉市花の美術館の相談員を務める。
著書「オールドローズ花図譜」(小学館)、「オールドローズ」(NHK出版)、「四季の花だより」(千葉市みどりの協会)他。

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